「情シスを採用すべきか、外に出すべきか」。この相談は、とても多いです。
結論から言うと、業務量では決まりません。決め手は「システムが止まったとき、誰が判断するか」です。
弊社は、同じ会社の情報システムを2018年3月から8年5ヶ月見ています。その間に分かったことを書きます。
採用が向くケース
先にこちらを書きます。弊社は情シス代行をやっていますが、向かない会社には向かないと伝えます。
- 毎日、決まった時間に人がいないと回らない業務がある(朝のバッチ確認、店舗からの問い合わせ対応など)
- 現場に入ってヒアリングしないと進まない改善が、常時走っている
- 自社でシステムを作っている(開発部門がある)
このいずれかに当てはまるなら、常駐か採用のほうが合います。外部に出すと、むしろ遅くなります。
外に出すのが向くケース
- 必要なスキルの幅が広いが、それぞれの量は多くない
- システムが止まったときの一次対応だけでなく、ベンダーと交渉できる人が欲しい
- 担当者が1人しかいないことのリスクを避けたい
中小企業の情シスに必要なのは、ネットワーク、基幹システム、EC、セキュリティ、ベンダー折衝、そして予算の判断です。これを1人で満たす人材は、市場にほとんどいません。いても、中小企業の提示では採り負けます。
コストの比べ方
採用と外注を比べるとき、給与だけで比べないでください。実際にかかるのはこれだけあります。
- 給与と賞与
- 社会保険の会社負担分
- 採用コスト(人材紹介を使えば年収の数十パーセント)
- 入社後の教育期間(基幹システムを覚えるまで半年はかかります)
- PC、ライセンス、席
そして、金額に出てこないものが1つあります。その人が辞めたとき、ゼロに戻るリスクです。
情シスは属人化しやすい仕事です。サーバの場所、設定の経緯、ベンダーの担当者、過去の障害。これらが1人の頭の中にしかない状態で退職されると、買い直すことになります。
外に出しても失敗する、3つのパターン
1. いきなり広く任せる
最初から「情シス全部」を契約すると、たいてい破綻します。外の人間は、最初は現場を知りません。知らないうちに判断を持っても、正しい判断にはなりません。
弊社の場合も、最初から部長ポジションだったわけではありません。システム導入の支援から始まり、障害の一次対応を拾い、ベンダー折衝を任され、最後に予算と優先順位の判断までを持つ形になりました。8年かけてこの順番です。
2. 範囲と対応時間を曖昧にする
見積を比べるとき、金額だけ並べても意味がありません。情シスアウトソーシングの費用は、作業の量ではなく「どこまで任せるか」で決まるからです。
最低限、この4つを揃えてから比較してください。
- 範囲|ヘルプデスクだけか、ベンダー折衝や投資判断まで含むか
- 対応時間|平日日中のみか、店舗の営業時間に合わせるか
- 常駐の有無|常駐・準常駐・リモート
- 緊急対応|月額に含むか、都度精算か
特に最後の1つを曖昧にしたまま契約すると、障害が起きたあとで必ず揉めます。
3. 記録が残らない
外部に出しても、対応の記録が自社に残らなければ、属人化の先が外に移っただけです。
弊社は障害対応をすべて掲示板に残しています(累計104件)。これは自社のためではなく、いつ引き継いでもいい状態にしておくためです。契約するときに、記録の残し方を確認してください。
8年続いている理由
弊社が見ているのは、SPINNS・mumokuteki を展開する90店舗超の小売企業です。
8年というのは、担当者が2回入れ替わってもおかしくない長さです。その間、情報システムの経緯を知っている人間が外にいるというのは、それ自体が資産になります。
「なぜこの設定になっているのか」を説明できる人がいると、判断が速くなります。逆に、そこが失われると、毎回ゼロから調べ直すことになります。
まとめ
採用か外注かは、業務量ではなく「止まったときに誰が判断するか」で決めてください。
そして、どちらを選ぶにしても、小さく始めて範囲を広げる。これがいちばん安くつきます。
株式会社nullkyotoは、情報システム部門を外部から担う形でご支援しています。まずは月1回の定例から始める形もご用意しています。費用のご相談だけでも構いません。


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