飲食業様の会計体制を、移行と再設計の両方から担当しました。
この案件でやったことは、一言で言うと自動連携を外して、別のところを自動化したです。
ご相談の背景
会計の体制が変わるタイミングで、帳簿にいくつかの問題が残っていました。
- 二重仕訳|API連携で入ってくる明細と、手で入力した仕訳が重なる
- 小口現金の不一致|帳簿と実態が合わない
- 入力の精度|日付の誤り、写真のブレ、税率の混在
- 月次が閉じない|過去分の精算があとから出てくる
この状態で一括切替をすると、どこからおかしくなったのかが追えなくなります。
実施したこと
1. 一括で切り替えず、科目ごとに移した
先にルールを決めてから、2ヶ月を使って勘定科目ごとに順次移行しています。
会計の乗り換えは、やること自体より途中で何が起きたかを説明できる状態を保つことのほうが難しい。段階移行はそのためです。
2. API自動連携を、あえて外した
コード情報が必要なカードは、自動連携を外してCSVの手動取込に統一しました。
自動連携は便利ですが、手入力と重なると二重仕訳になります。自動化の設計で先に決めるべきなのは、どこを自動にするかではなく、どこで止めるかです。
3. 領収書は、新しい仕訳を作らないために撮る
写真を撮って新規の仕訳を立てるのではなく、既存のカード明細の仕訳に紐付ける運用に変えました。重複が構造的に発生しなくなります。
4. freeeとClaudeをMCPでつないだ
ここがこの案件の中心です。
飲食の現場から上がってくるデータは、フォーマットがバラバラです。POSからのCSV、カード会社の明細、仕入先ごとに違う請求書。列の並びも、日付の形式も、税率の書き方も揃いません。
従来はこれを人が見て、毎回同じような変換をしていました。freeeのMCPをClaudeに接続して、ここを自動化しています。
- さまざまなフォーマットからの仕訳作成|形式の違うデータを読み取って、freeeの仕訳の形に落とす
- ルーティングのチェック|この取引はどの勘定科目に行くべきか、過去の仕訳と矛盾していないかを確かめる
大事なのは、自動で登録までしていないことです。AIが作った仕訳は、人が見てから通す。黙って通す仕組みは、間違いを後ろに送るだけです。
5. 入力者を特定できる状態にした
共用アカウントのままだと、残高が合わないときに原因を追えません。アカウントを分ける提案をしています。
6. 小口現金に、締切をつくった
複数月分をまとめて出されると、月次が閉じられません。過去分を無制限に受け付けないルールを先に決め、毎月20日ごろデータ確定、月末に会計報告というスケジュールに揃えました。
決めたこと
- 会計の移行は一括でやらず、科目ごとに
- 二重仕訳の原因になるAPI連携は外す
- 領収書は新規仕訳を立てず、既存明細に紐付ける
- 形式の違うデータからの仕訳作成とチェックはfreeeのMCP経由でAIに渡す
- ただし登録の手前で人が見る。ここは自動化しない
- キャンセル返金は売掛金ではなく売上のマイナス調整で処理する
会計の自動化は、「増やす」と壊れます
会計ソフトの自動連携は、増やすほど楽になると思われがちです。実際は逆で、手入力と重なった瞬間に帳簿が汚れます。
やるべきは「どこを自動にするか」ではなく、「どこを自動にしないか」を先に決めることです。そのうえで、人が毎回同じ変換をしているところだけをAIに渡す。
仕訳を作るのは、判断を伴う作業です。だから全部は渡せません。ただ、形を揃えるところまでは判断ではないので、ここは渡せます。


IT CONSULTING