クライアントワークではありません。自社で運営している鹿肉のペットフードブランドです。ただ、ここでやっているブランド設計は、支援先で行っていることとまったく同じなので、実績として置いています。
京都の山で獣害として処理されていた鹿を、ペットフードに変えています。仕入れも原価計算も出荷も、自分たちでやっています。
ご相談の背景(自社の課題として)
ブランドを立ち上げるとき、いちばん多い失敗は「かっこよくして」で発注することです。作り手ごとに解釈がずれ、パンフレットとラベルとブースを並べたときに、同じブランドに見えなくなります。
しかも、ペットフードは書けることに制約があります。あとから赤字を入れて回す進め方だと、時間もお金も溶けます。
実施したこと
1. デザイナーに渡す前に、ブランドの文書を書いた
v1からv7まで、7回書き直しています。中身は4つです。
- 色と、その意味|深緑は山、薄緑は余白、金は加工の手。色ごとに何を指すかを決めました
- 書体の方針|和文は明朝系、欧文はサンセリフ。読ませる文字と、置く文字を分ける
- 写真の撮り方|商品単体ではなく、生活の場面と自然を入れる。彩度は抑える
- 使う言葉と、使わない言葉|4段階に分けて明文化
2. 言葉を4段階に分けて、先に線を引いた
★必ず使う/○使うとよい/△控えめに/✕使わない、の4段階です。
「治る」「効く」のような効能の断定は使わない。鉛の混入リスクも「ゼロ」とは言い切らず、「限りなくゼロへ」に留める。ギフトBOXの二重価格表示は、通常価格での実販実績があることが前提。逆に「鹿肉100%」「無添加・無着色」「獣医師監修」は、必ず使う言葉として決めました。
使わない言葉だけでなく、使う言葉も決めておくのがポイントです。書き手が迷わなくなります。
3. 配布物を「誰に渡すか」で分けた
展示会には飼い主さんとバイヤーが来ます。飼い主さんは原材料と価格を見て、バイヤーはロットと掛率とOEMの可否を見ます。同じ紙では、どちらにも刺さりません。
- パンフレット(二つ折り)|ブランドと商品の話。飼い主さん向け
- 卸用リーフレット|商品・OEM・PBの3本立て。法人向け
4. 前の月に、同じ展示会の東京開催へ調査を出した
「見てきて」では感想しか戻りません。見る視点を3つ、文章にして渡しました。OEMの受注を増やしている会社の見せ方、同価格帯の競合が伝えようとしていること、足を止めさせている仕掛け。戻ってきたのはレポート2本です。
ここで、ミニ小間で大きなブースと張り合っても勝てないと分かりました。近づいてきた人に、確実に伝わる作りにする。方針が決まりました。
5. 制作パートナーと形にし、入稿・印刷手配まで
デザインの実作業は制作パートナーに入ってもらっています。設計と指示書づくり、入稿と印刷手配、出したあとの運用は自分たちで担当しました。
作ったものは、パンフレット、卸用リーフレット、ブランド表紙ボード、タペストリー、トートバッグ、名刺、POP、プライスカード、雑誌広告(『いぬのきもち』2026年2月号)、Meta広告2種、展示会ブース。
成果
2026年6月19日〜21日、インテックス大阪で開かれた第4回 インターペット大阪(出展441社・来場30,521名)に、いちばん小さいミニ小間で3日間出展しました。
- 初日、卸の引き合いが約30社(会社・サロン・宿泊施設)
- 2日目、個人のお客様に約80個
- 3日間でInstagramのフォロワーが400人増
- 最終日、持ち込んだ在庫が完売
- リゾートホテルから、トートバッグ50個の初回オーダー
反省点
在庫が足りませんでした。完売は聞こえがいいのですが、最終日の午後には売るものがない状態です。買いたいと言ってくださった方を、そのまま帰しています。持ち込み量の見積もりを、東京の調査時点で詰めきれていませんでした。
もう1つ、商品数が多すぎました。この規模のブースなら、種類を絞って価格を下げるほうが合います。
ここでやっていることを、そのまま支援先に持ち込んでいます
ブランドの言葉と見た目のルールを決めて、制作パートナーと形にして、出したあとの数字を見る。自分の商品で試してから持っていくので、机上の話になりません。


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