シフト管理の相談を受けて、私たちが出した答えは「Excelで組みましょう」でした。専用システムは入れていません。
現場が毎日開いている道具で作れば、操作説明の時間がまるごと不要になる。アパレル小売・飲食チェーン様の案件で、実際にそうしました。
ですから「Excelだから限界」という話ではありません。本当の問題は、いま起きている困りごとがExcelのせいなのか、そうでないのかを切り分けないまま、道具の入れ替えを検討してしまうことです。
この記事では7つのサインを挙げます。ただ並べるだけでは判断できないので、それぞれに「Excelのままで直せるか」を添えました。内訳は、Excelのままで直るものが3つ、システムの出番が2つ、システムを入れても直らないものが2つです。
サイン① 毎月のシフト作成に、半日以上かかっている
【Excelのままで直せます】
シフト作成に時間がかかる原因は、たいていExcelそのものではありません。内訳を分けると、だいたいこの4つです。
- 希望の回収に時間がかかっている
- 誰がどのスキルを持っているかを、そのつど思い出している
- 日付や曜日を毎月、手で打ち直している
- 出来上がったあと、時間帯ごとの人数を目で数えている
このうち、日付・曜日の自動表示と人数のカウントは関数で片付きます。スキルの一覧も、表の脇に置いておけば済む話です。
つまり時間がかかっているのは「Excelの限界」ではなく「表の作り方」であることが多い。ここを直さずにシステムを入れると、同じ手間がシステムの中に引っ越すだけです。
サイン② 希望の回収が、LINEと口頭と紙でバラバラ
【Excelのままで直せます】
シフト希望をLINEで送ってくる人、口頭で言ってくる人、紙に書いて置いていく人。これが混在していると、作成者は毎月3か所を突き合わせることになります。
これはExcelの問題ではなく、入口の問題です。
回収の入口を1本にすれば直ります。無料のフォームでも、共有のスプレッドシートでも構いません。大事なのは「ここ以外では受け付けない」と決めて、それを守ることです。
ここを曖昧にしたままシフト管理システムを入れると、システムに入力しない人の分だけ、結局は手作業が残ります。
サイン③ 店舗別・ブランド別の人件費が集計できない
【Excelのままで直せます】
シフトは組めているけれど、「先月この店にいくらかかったか」がすぐに出てこない。
これは項目設計の問題です。勤務時間だけでなく、店舗・ブランド・雇用区分を最初から列として持たせておけば、ピボットテーブルで出せます。
実際、私たちがExcelで組んだ案件でも、店舗ごと・ブランドごとの集計を出せる形にしました。Excelでできない領域ではありません。
サイン④ 当日の欠員や変更が、現場に届かない
【Excelでは直りません】
朝、急に欠員が出た。埋められる人を探して、連絡して、シフト表を直して、関係者に共有する。
Excelは、この「変更を即座に全員へ届ける」という動きが苦手です。ファイルを直しても、それを見に行った人にしか伝わりません。結果として、電話とLINEで補うことになります。
当日変更が月に何度も起きる現場なら、ここはシステムや共有アプリの出番です。逆に、当日変更がほとんど起きない業種なら、この理由だけで入れ替える必要はありません。
サイン⑤ 「最新版」がどれか分からなくなる
【Excelでは直りません】
シフト表_最終.xlsx シフト表_最終_修正.xlsx シフト表_最終_修正_店長.xlsx
こうなった時点で、どれが正なのかを人間が判断しています。それ自体が業務であり、ミスの原因です。
クラウド上の1ファイルに集約すれば、ある程度は防げます。ただしシフト表には「作成者が組んでいる途中の版」と「現場に出す確定版」があります。同時編集にすればするほど、途中の版が現場から見えてしまう問題が出てきます。
作成中と確定を分けて扱えるかどうか。ここがExcelの構造的な弱点です。
サイン⑥ シフトを組めるのが1人しかいない
【システムを入れても直りません】
店長が異動したら、誰もシフトを組めない。マクロを作った人が辞めたら、誰も直せない。
これは道具ではなく、業務設計の問題です。
シフト作成には、ルール(必要人数、資格、連勤の上限)と判断(この人とこの人を同じ日に置くか)の2つが含まれています。システムが肩代わりできるのはルールのほうだけです。判断が1人の頭の中にある限り、システムを入れても属人化は残ります。
先にやるべきは、ルールを紙に書き出すことです。書き出せた分だけ、他の人が組めるようになります。
サイン⑦ 連勤や労働時間の上限チェックが目視のまま
【システムを入れても直りません】
作り終わったシフト表を目で追って、連勤が続いていないか、時間が超えていないかを確認している。見落としが起きる前提の運用です。
ただし、ここでシステムを入れても直らない理由があります。
自動チェックを働かせるには、「何を超えたらアウトか」を数値で決めておく必要があります。連続勤務は何日までか。週の上限は何時間か。雇用区分ごとに違うのか。これが決まっていない会社は、システムを入れても、そのチェックの基準を設定できません。
先にルールを文章にする。その次に、チェックを自動化する。順番はこちらです。
なお、労働時間や休日の法令上の扱いは、業種や雇用区分によって変わります。自社の基準を決めるときは、社会保険労務士にご確認ください。
7つの仕分け
| サイン | 打ち手 |
|---|---|
| ① 作成に半日以上 | 表の作り方を直す |
| ② 希望の回収がバラバラ | 回収の入口を1本にする |
| ③ 人件費が集計できない | 項目設計をやり直す |
| ④ 当日変更が届かない | システム・共有アプリを検討 |
| ⑤ 最新版が分からない | システム・共有アプリを検討 |
| ⑥ 組めるのが1人だけ | ルールを書き出す |
| ⑦ 上限チェックが目視 | 基準を数値で決める |
判断の目安
- ①②③だけが当てはまる→ 入れ替えは不要です。表の作り方と回収の入口を直せば済みます
- ④⑤が当てはまる→ システムを検討する時期です
- ⑥⑦が当てはまる→ 何を入れても直りません。先にルールと判断基準を書き出してください
よくあるのは、⑥⑦が原因なのに④⑤だと思い込んで、システムを入れてしまうケースです。導入後も同じ人が同じように悩み続けることになります。
入れ替えありきでは判断しません。いまの道具で回るなら、そう言います。逆にExcelでは限界が来ているなら、その境目も示します。
株式会社nullkyotoは、京都を拠点に業務改善とシステム導入を支援しています。シフト管理については、Excelでの内製と、システム導入の両方をやってきました。どちらが向いているかの判断だけのご相談も承っています。初回相談は無料です。


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